2015年4月23日木曜日

お名入について -2.オーダーの流れ-

お名入について、の続き(2回目)です。
「1.お名入で出来ること」はこちらをご覧下さい。

2.オーダーの流れ

ご注文の際には、まず下記の項目をお伝え下さい。
 ・お名入をご希望の商品名(例:「原稿用紙No.101」等)
 ・お名入したい内容(例:「川口用箋」等)
 ・ご希望の書体(例:楷書体)
 ・その他ご希望があれば(例:「中央下に横書きで名入」等)

お名前を入れる位置については、縦書きの場合左下に縦書き、横書きの場合中央下もしくは右下に横書き、というのが一般的ですが、決まりはありませんのでお好みで結構です。
(特にご指定がない場合には、とりあえず一般的な位置で進めさせて頂きます)

「中央下に横書きで」の例

これらの内容を元に、満寿屋で仕上がりイメージを作成致します。それをご覧頂いた上で、問題ないようでしたら作成に入ります。文字の大きさや間隔、位置の修正や書体の変更等が必要でしたらご遠慮なくお申し付け下さい。

書体につきましては、基本は下記5書体となります。

 ・行書体

行書体

 ・楷書体

楷書体

 ・明朝体

明朝体

 ・宋朝体

宋朝体

 ・ゴシック体

ゴシック体

ただし上記以外に特定のご希望書体がありましたら承りますのでお申し付け下さい。
先に申し上げた通り、手書き文字やロゴ等でのお名入も可能です。手書き文字の場合には、白い紙に黒字ではっきりと書かれたものをお渡し下さい。実寸よりも大きく書いて頂くようお願い申し上げます。

「3.商品の仕上げ」に続きます。

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2015年4月16日木曜日

お名入について -1.お名入で出来ること-

作家さんには、原稿用紙に名前を入れ自分専用の用紙としてお使いになる方もいらっしゃいます。満寿屋では丹羽文雄さんをはじめ、多くの方のお名入原稿用紙を作って参りました。

浅田次郎さんの原稿用紙

はじめは作家の方ばかりでしたが、ある雑誌で取り上げて頂いたことをきっかけに一般の方からも「私も自分の名前の入った原稿用紙を作りたい」というお声を頂くようになりました。

現在では作家の方の多くがパソコンで執筆されるようになったこともあり、むしろ一般の方からお名入のご注文を頂くことが多くなっております。

ご自分専用のものとしてはもちろん、父の日や母の日のプレゼントとして、またお辞めになる先生へ生徒一同からのご贈答用に、といったご用命も増えています。

原稿用紙、便箋、一筆箋へのお名入を承っておりますが、
 ・どのような名入が出来るのか
 ・どのような仕上がりになるのか
 ・どのような流れでオーダーするのか
といったことをよくご質問として頂きます。

ここでは少し詳しくお名入についてご説明したいと思います。(内容が長くなりますので、3回に分けてご説明します)

1.お名入で出来ること

満寿屋で言うお名入とは、原稿用紙、便箋、一筆箋の既製品をベースとして、罫線と同じ色でお名前等を印刷することを指します。(名前だけ後から印刷するのではなく、罫線と一緒に一から印刷致します)設定されている標準価格もこの内容で作られています。

ただしご希望によっては様々なご注文を承ることが出来、罫線のデザイン自体をお好みのものに変更することも可能ですし、印刷の色を既製品の中に無い色でご指定頂くことも可能です。しかしこれは別途追加料金が必要となりますので、ここでは省かせて頂きます。

先に申し上げました標準のお名入では罫線自体の変更は出来ませんが、紙の中のどこにどのようにお名前等を配置して頂いても結構です。

ご指定の場所に配置します
大きさも自由です

またデータや、実際に紙に書かれたものを頂戴出来れば、ロゴやご自筆のお名前を印刷することも問題ございません。お名前と座右の銘を入れた原稿用紙を作られる方もいらっしゃいます。

どうぞお気に入りの原稿用紙(便箋)に仕上げて下さい。

原稿用紙のお名入、便箋・一筆箋のお名入の価格は次の表の通りとなります。
(価格表は消費税別の価格となっております)



いずれも初回のみ版代を頂戴致します。後に同じ内容にてリピートオーダーを頂いた場合には、初回にお作りした版を再利用出来ますので、2回目以降版代は頂きません。

「リピートオーダーでは名前の他にロゴを追加したい」というような、新たに版を作らなければならない場合には、その分の版代が必要となります。

「2.オーダーの流れ」に続きます。

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2015年1月13日火曜日

MONOKAKI・A6サイズで自作手帳 -その後.1-

昨年12月、思い立って自作してみた今年用の手帳ですが、現在のところ私にしては活用出来ていると感じています。(まだ使い始めて1ヶ月ですが。。)

先月記事にした段階ではまだ自作の工程で、詳しい内容には触れませんでした。
ご興味ある方がどれくらいいらっしゃるか分かりませんが、一応私なりのこの手帳の使い方等を書かせて頂きたいと思います。

自作した今年用の手帳

まず、この手帳の構成についてです。

以前の記事でも申し上げましたが、私はこれまで手帳をあまり上手に使いこなせませんでした。
その原因の一つと思われるのが「見た目をキレイに書き込む」ことに疲れてしまう、ということです。誰に見せる訳でもないのに、いろいろな項目をキレイに書くことに対し必要以上に意識が行っていたのでしょう。

そうならないために、「手帳はあくまで自分が分かれば良いんだ」と割り切って使ってみることにしました。(後で見た時に、読めないほどグチャグチャというのは困りますが)
そこで、手軽に使っていけることの邪魔になる要素は排除し、手帳としての機能は3つだけに限定してみました。それが下記の3つです。

1.マンスリータイプのスケジュール欄
2.ToDo管理
3.メモ(ノート)

マンスリーとToDo用のフォーマット

以前はよくウィークリータイプの手帳を選んでいました。
しかし持て余してしまうことが多く、私の場合はマンスリーで1ヶ月が見渡せる方が合っていると考えました。
また手書きで線を引きますので、ウィークリーのページを一年分作るのはとても大変です。早々に却下しました。

マンスリーのマスの中には、日付だけ記入しています。(祝日の場合は何の日かも書いています)
ひと月は日数と曜日の関係で4週になることもあれば5週になることもあります。どのような場合でも対応出来るよう、縦は6マスにし、余った部分はメモ欄に当てました。

万年筆で書いたマンスリーのスケジュール欄

マンスリーの後には、ToDoを書き込めるページを作りました。見開きで半月分です。
外出や時間のかかる予定がある場合には、あらかじめその日の欄に書いておきます。空いたスペースにやるべきことを書いていき、終わったらチェックボックスにレを入れるといった一般的な使い方をしています。

ToDo管理用のページ

終わったらチェックを入れる

ToDoの後はメモ(ノート)ページです。
もともと無地のノートですので、自由にメモを書き込むために使う予定でした。
しかし、何も考えずに一年間このスペースにメモを書き続けていくと、限られたページですので途中で使い切ってしまう可能性があります。

そのため、別途「何でも帳」的なノートを一緒に持ってみることにしました。選んだのはツバメノートのA5サイズ、「H40S」です。

「MONOKAKIじゃないの?」と言われそうですが、ツバメさんのノートはもともと好きですし、持ち運び時の厚み等を考えて現在のところこちらを使っています。

リヒトのバッグインバッグに入れて
持ち運んでいます

次に、使い方ではなく見た目の部分についてです。
完全に自己満足の世界ですが、『月』の印字にナンバリングマシンを使ってみました。
あまり器用ではないので、ページによって位置がずれたりしましたが、気にせず楽しくガチャガチャと押していきました。

ライオン事務器のD-51

『月』の印字に使用

昔から会社にあったナンバリングマシン(ライオン事務器のD-51)ですが、最近ではほとんど仕事で使うことがなくなりました。私はこうしてたまに遊びで使っています。
印字される数字に味があると思いますし、機械的なもの自体が個人的に好きです。

ゴム印とはだいぶ違った感触です

最後に、記入に使う筆記具です。
最初は私の好きな万年筆、もしくは予定に変更が出た場合書き直せるシャーペンを候補にしていました。

パーカーの万年筆(75)と
ロットリングのシャーペン

しかし、視認性の点から色分けをして使う場合にはどちらも不利ですし、何本も持ち歩くのは煩わしく、また使い分けが億劫になる可能性もあります。

結局、ラミーの4色ボールペンを使うことにしました。
ただ、純正のリフィルの書き味が苦手なので、三菱鉛筆のジェットストリームに入れ替えてあります。

細かく書けるよう、ブラック・ブルー・レッドのそれぞれ0.5mmです。
グリーンのリフィルは販売されていないので、そこにはステッドラーの蛍光オレンジを入れています。(蛍光オレンジはほとんど使っていませんが。。)

ジェットストリームは滑らかに書けるので良いですね。
このボールペンは数年前から使っており、いろいろなリフィルを試しましたが、今後しばらくはジェットストリームに落ち着きそうです。

ラミーの4色ボールペンに
ジェットストリームを

それから、使い勝手を良くするために付箋を使おうと考えていましたが、いざ探してみるとなかなか「これ」というものを絞ることが出来ません。自分にとって使いやすそうなものに出会ったときに使ってみたいと思います。

個人的なお話を長々と書いてしまいました。
また使っていくうちに変化があるかも知れませんので、このような自作手帳についての記事が皆様のご参考になるか分かりませんが、いずれ機会を見つけて「その後.2」も書いてみたいと思います。

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2014年12月24日水曜日

MONOKAKIシリーズに加わった新サイズ -ポケットサイズ-

満寿屋の作るノートMONOKAKIシリーズにA6サイズとポケットサイズのそれぞれ罫線有り・無し、合計4種類が加わりました。

左からN7・N8・N12・N11

今回はポケットサイズについて詳しくご紹介したいと思います。

A6サイズよりも更にコンパクトなポケットサイズは『常に持ち歩く』ことを意識して作られたモデルです。

「手帳くらいのサイズ」と言うとかえって曖昧な例えになってしまうかも知れませんので、その名の通り、ポケットにスッポリ入るサイズと言った方が分かりやすいでしょうか。(全てのポケットに収まるというわけではありません)寸法で言うと140×85mmと、若干縦長でスリムな形をしております。

N11を手に持ったところ

先ほど申し上げた通り、『常に持ち歩く』ことを意識したモデルであり、従来のMONOKAKIとは異なる部分がいくつかあります。

まず分かりやすいところでは、表紙の紙が和紙ではありません。ポケットやバッグに入れて持ち歩き、頻繁に出し入れを行う場合、和紙ですと使い方によっては毛羽立ちが起こる可能性があります。その点を考慮に入れ、ポケットサイズは洋紙の表紙にしました。

左が7mm方眼罫のN11、
右が罫線無しのN12の表紙

また罫線の有り・無しで違いが分かりやすいよう表紙の色を変え、罫線有りは純白、罫線無しはベージュとしてあります。ベージュの方はこれまでのMONOKAKIとは少し違った印象の外見と感じられるかも知れません。


表紙の次は見返しについてです。(見返しとは、表紙と本文の接着を補強するために存在する紙です)

従来のMONOKAKIはかなり厚めの見返しを用いておりますが、ポケットサイズは比較的薄いものを使っております。

厚い見返しは、ノートカバーに入れて使用することを想定して採用したものです。しかしこのポケットサイズは、そもそもこのサイズに対応するノートカバーがほとんど存在しないと思います。
それであれば、ノートの開きやすさの障害になり兼ねない分厚い見返しをわざわざ採用する必要はないと考え、薄い紙に致しました。


ノートの開きやすさの点では、もう一つ従来モデルと異なる工夫を採用しています。

従来モデルは本文の背の部分と表紙が、PURという柔軟性と耐久性を持った糊で接着してあります。このポケットサイズの場合は、本文と表紙を直接接着せず、わざと空間が出来るように製本してあり、より開きやすさを期待出来るものとなっています。

背の部分に空間が出来ます

ページ数については、従来の160ページよりも若干少ない128ページとなっておりますが、携帯性を考えると程よい余裕のあるページ数と言えるのではないでしょうか。

最後に罫線のタイプについてです。
従来の罫線有りは太めの横罫としてありました。このポケットサイズでは、満寿屋で初めて方眼罫を採用しております。

方眼罫と言うと5mm方眼が一般的と思いますが、こちらは7mm方眼としました。使い勝手が良いながらも、ゆったりとお使い頂きたいためです。縦罫をあまり気にしなければ、7mm横罫ノートとしても使って頂けると思います。

ゆったりとした7mm方眼

こう挙げてみますと、従来のMONOKAKIとは結構違う点があり、今までと異なるシリーズという見方も出来るかも知れません。

表紙の、切り絵作家・高木亮さんによる飾り罫が、縦長の表紙の中で少し違った雰囲気を見せているような気がするのも面白いな、と個人的に思っています。

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2014年12月2日火曜日

MONOKAKI・A6サイズで自作手帳

年末が近づき、
文具店や書店では大規模に手帳コーナーを展開するお店も増えています。
まさに手帳の季節です。

お恥ずかしいことに私は毎年、うまく手帳を使いこなせず途中で使わなくなってしまいます。しかしどういうわけか、この時期が来ると決まって手帳選びを始めてしまうのです。手帳を使うことよりも、手帳を選ぶことの方が楽しいというか。。手帳の季節の盛り上がりに、毎年必ず引き込まれています。

しっかり時間管理しなければならないほど、時間の決まった日々の予定が多くないということも途中で使わなくなる一因と思います。また社内据え置きの予定表で事足りているということもあるのでしょう。

ともあれ、途中で使わなくなってしまうかも知れない来年分の手帳をわざわざ購入するのもどうかと思い、今回は新しいMONOKAKIを使って手帳を自作してみることにしました。

MONOKAKI N8

インターネットで「手帳 自作」と検索すると、ご自分で手帳を作ってお使いになっている方の多さに驚きます。

私は全てを自分で作るという勇気がなかったため、とりあえず今回はデータを無料でダウンロード出来るサイトから頂戴し、使わせて頂きました。

・mytecho.jp
今回使ったのは、こちらのサイトの「カレンダーリフィル(月曜始まり)」です。
まだ2015年版が無かったため、2014年版をダウンロードしました。

ダウンロードしたデータを少しだけ加工し、プリントアウトします。それをMONOKAKIの大きさに切って、書き込むページの下に入れ、透けたカレンダーを万年筆でなぞっていきました。

プリントアウトして下敷きのように
ページの下に入れます

フリーハンドで書きますのでピシっとした線にはなりませんが、「これも味だ」と良いように解釈しどんどん進めていきます。

日付の記入は平日と土曜、そして日曜・祝日でインクの色を分けました。ただ、土曜にブルーブラック、日曜・祝日にボルドーという渋い色をチョイスしてしまったため、パっと見た時の違いにあまり差が無くなってしまったのは失敗です。(平日はブラック、カレンダーの罫線はこげ茶のインクを使いました)

曜日の色分けをしましたが、
あまり目立ちませんでした

何とか完成しましたので、来年はこれを使ってみたいと思います。一年間使い続けるのが目標です。(自作ですので、使い勝手が良くなかった場合は再来年改良することも出来ると思いますし)

MONOKAKIは、発売したばかりのN8(A6サイズ・罫線無し)を使いました。以前、革小物で有名な「ワイルドスワンズ」の直営店・C.O.Uさんで文庫本カバーとしてSUITED-M(スーティドM)を購入したのですが、それをノートカバーとして利用しています。使うごとに質感を増していく、素敵なカバーです。

私の使い方が雑なため無数の傷が。。
でも良い味が出ています

自作の手帳、
「MONOKAKIを使ってこんなことを」という意味でご紹介しましたが、皆様にお勧めするものではありません。(勧められてもやらないと思いますが)

それぞれ違う色のインクが入った
4本の万年筆を使いました

ご自分の楽しみのためにMONOKAKIをお使い頂ければ幸いです。

次回こそ、ポケットサイズのご紹介を致します。

【追記】(2015/01/13)
この自作手帳について、もう少し詳しい内容や使い方等の記事を書きました。
・MONOKAKI・A6サイズで自作手帳 -その後.1ー

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2014年11月19日水曜日

MONOKAKIシリーズに加わった新サイズ -A6サイズ-

満寿屋の作るノート、MONOKAKI(モノカキ)。
このブログのタイトルにもなっていますが、これまで6種類だったラインナップに新たに4つのアイテムが加わりました。


・N7 (A6サイズ、8mm罫線)
・N8 (A6サイズ、罫線無し)
・N11 (ポケットサイズ、7mm方眼)
・N12 (ポケットサイズ、罫線無し)

これまでの最小サイズB6よりも、より携帯性を重視したコンパクトなモデルとなっております。
今回は、それぞれについて少し詳しくご紹介致します。

A6サイズの2種類については、基本的に従来のモデルの仕様をそのまま継承しております。

杉原商店の越前和紙・羽二重紙を表紙に用い、印刷されている飾り罫は切り絵作家・高木亮氏によるものです。


じっくり見なければあまり違いに気付かないかも知れませんが、罫線有りのN7と罫線無しのN8では、そのデザインが異なっております。また和紙についても色違いの紙を使用しています。

表紙をめくるとかなり厚手のしっかりとした見返しがあります。(罫線有りはダークブルー、罫線無しはワインレッド) どうしてここまで厚手の見返しにしているかと申しますと、ノートカバーに入れてお使いになることにも対応出来るようにするためです。(A6サイズはいわゆる文庫本のサイズに近いので、文庫本カバーに入れることも出来ると思います)

ノートカバーに表紙を挟みますと、カバー内側の厚みによって筆記面に段差が生じ、書きづらくなってしまいます。 その段差を軽減すべく、MONOKAKIでは厚手の見返しを採用しているのです。(見返しとは本来、表紙と本文の接着を補強するために存在するものです)

本文の紙は原稿用紙にも使用している、満寿屋オリジナルのクリーム紙です。
書くスペシャリストである作家さん達にアドバイスを頂きながら、『書く』ために生まれた紙です。

ページ数は160ページ。糸かがり製本をしてあります。
16ページ(8枚)で1束とし、それを10束糸でかがっています。1束の枚数を減らすことで、ページの開きやすさに偏りが出来ず、どのページも開きやすくする効果があります。


MONOKAKIの場合には、先にご紹介した和紙の表紙と厚手の見返しにしっかりと挟まれる形になるため、お使い始めは開きやすさがあまり発揮されず、もしかすると「開きにくい」という印象をお持ちの方もいらっしゃるかも知れません。これはお使い頂くうちに、馴染んできて解消されてくると考えております。

さて罫線有りのタイプですが、従来モデルでは太めの9mm罫線を採用してきました。このA6サイズでは面積が小さくなる分、9mmですとだいぶ太い印象があり、8mm罫線とさせて頂きました。
8mmでも太めの部類に入ると思いますので、ゆったりと書いて頂けるのではないでしょうか。


全体的にコンパクトになって、『かわいい』というイメージも少し出たA6サイズのMONOKAKIです。

次回、ポケットサイズについてご紹介します。

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2013年10月31日木曜日

原稿用紙の起源を探る -3.塙保己一の版木-

 原稿用紙と言えば400字詰めというのが標準的な認識となっています。
「原稿用紙」と「400字詰め」はセットとして捉えられており、「原稿用紙の起源」は「400字詰めの起源」と当然イコールであると考えられがちです。

 ですが、私はこの両者はイコールではないのではないかと考えています。 別々に起源があり、どこかで結びついたと思っているのです。 そのような理由から、私は出来るだけこの2つを別の視点で捉え検証を進めていきたいと思っています。

登録有形文化財の温故学会会館

 今回は一般に「原稿用紙の起源」ともされている、塙保己一(読み:はなわ ほきいち)の版木を取材させて頂きました。(先ほどの私の考え方からすると、これは「400字詰めの起源」の方であると思うのですが。。) 取材に伺ったのは渋谷区東の温故学会で、第4代理事長の齊藤幸一さんにもいろいろなお話を伺うことが出来ました。

塙保己一の銅像

 塙保己一は教科書にも出てくる方ですので、ご存知の方も多いと思います。
江戸時代の国学者で、5歳のときに病気にかかり7歳で失明したにも関わらず、苦難を乗り越え、全666冊にも及ぶ『群書類従(読み:ぐんしょるいじゅう)』を編纂・刊行されました。

『群書類従』の和本

『群書類従』とは、日本の古代・中世・近世の貴重な歴史書・文学書といった古典籍が散逸、焼失してしまったことを憂い、これらを集書刊行して世に広めようと塙保己一が企画しまとめた大叢書です。 完成(1819年)までに40年もの歳月を費やす、まさに大事業でした。(詳しくは温故学会のHPに記されています)

 さてこの『群書類従』ですが、どのような印刷方法で刷られたのでしょうか。
現在の主流はオフセット印刷(他にもいろいろとありますが)で、印刷機に紙をセットすればあっという間に大量の印刷が出来ます。 しかし、江戸時代には当然そのような優れた印刷機はありませんでした。 木に文字を彫り、墨を付け、紙を押し当てるという、いわゆる手刷りで一枚一枚印刷していったのです。

『群書類従』の版木

 印刷することも大変な作業ですが、それ以上に版を彫るということが大変なことでした。
塙保己一は目が見えないため、口でしゃべったことを他の人が紙に書き、それを裏返して木の板の上に乗せ、文字の部分を残すように職人が彫っていきます。
その数なんと17,224枚。(表・裏両面彫りのため約34,000ページ分。1枚の大きさは、横 470 × 縦 230 × 高 15mm、重さ 1.5kg)
硬く丈夫でありながら加工のしやすい山桜の木が版木として用いられました。

一文字一文字しっかりと彫られている

 現在も1枚も欠けることなく温故学会に保管され、国の重要文化財にも指定されています。
実はこの『群書類従』の版木の文字数が、縦20文字、横10行が2段で400字に統一してあるのです。(一部そうでないものもあります)

 温故学会では今でもこの版木を使って印刷をし、製本して納めるという注文を承っています。 200年近く前に作られた版木が現在も現役で、しかもまだきれいに印刷出来るということに驚きました。

版木から和紙に印刷された1枚

 齊藤理事長のご厚意で、印刷したものを1枚分けて頂きましたのでその写真をアップ致します。 罫線はありませんが、20字 × 20行の形でとてもきれいに文字が並んでいますね。

 この『群書類従』の400字詰めの版木が、現在の原稿用紙の様式の元となっているということが、熊田淳美氏の「三大編纂物 群書類従・古事類苑・国書総目録の出版文化史」(勉誠出版)の中に記されているという情報がありました。 私も早速この本を読んでみたのですが、その内容の記述部分を見つけることが出来ませんでした。恐らく私の読み落としでしょう。 これについては、また機会を作って注意深く読み直してみたいと思います。

温故学会内に保管される『群書類従』の版木

『群書類従』は後世に多大な影響を与える叢書であったことから、この版木が「400字詰めの起源」になったと考えるのは妥当と言えるかも知れません。(これよりも前の時代で、京都・萬福寺の禅僧、鉄眼による版木も400字であり、元はこちらともされています。鉄眼についてはまだ取材出来ていないため、いずれまた詳しく触れたいと考えています)

 ここで、最初に申し上げた「400字詰めの起源」と「原稿用紙の起源」についてです。
『群書類従』や鉄眼の版木は文字を先に彫って印刷するものであるのに対し、原稿用紙は罫線のみを印刷した紙に後から文字を書き入れるものです。そのようなことから、同じ400字であっても用途が違うものには別の起源があると考えるのが自然ではないか、というのが私の考え方です。

版面が擦れないよう、1枚ずつ
端喰(読み:はしばみ)が嵌められている

 先ほどご紹介した版木で印刷された紙の画像の通り、『群書類従』の版木には罫線がありません。原稿用紙の最大の特徴と言っても過言ではない罫線、そして升目が存在しないということも「起源が別にあるのでは?」と考えさせる理由の一つです。

 歴史の古い版木の文字数が先に400字に定着し、後から生まれた原稿用紙がその流れを汲んだとも考えられます。ただもしそうであれば、その根拠を探したいと感じました。

 温故学会の齊藤理事長とお話する中で、塙保己一が採用した400字という文字数についていろいろと考えを巡らせてみました。

以前「温故堂書室用」として使われていた
440字詰め原稿用紙
版木による手刷りと見られ、記述には
明治36年とある

 なぜ500字等もっとキリの良い数ではないのか。
まず先ほども少し触れた鉄眼の存在が考えられます。黄檗版鉄眼一切経(読み:おうばくばんてつげんいっさいきょう)の版木は1681年に完成しています。当時すでに有名であったはずなので、当然保己一は知っていたと思われます。鉄眼の版木が400字詰めを採用していたため、その形式を取り入れたということは十分考えられるのです。(ただし、それを示す記録は残っていません)

『群書類従』には草書で彫られた部分もある

 もう一点。版木は彫り師が何の見当もなく字を彫っていくのではなく、字の書かれた紙を木に当て目安にしながら彫っていきます。当然元となる紙には筆で書くので、紙の大きさ、余白、字の大きさの点から400字が妥当という考え方も出来ます。筆で小さな文字を書くことは大変ですし、それ以上にその小さな文字を彫ることは難しく時間がかかってしまうでしょう。

 更に、美濃判の紙で天・左右にスペースを取った状態で、ある程度読みやすい大きさの文字数というと400字程度ではないかという考え方もあります。
当時は蝋燭も貴重品であったため、魚の脂等粗悪な燃料で灯りをつけていることが多く、とても暗かったそうです。夜書物を読む場合、特に目の悪いお年寄りにはこれ以上小さい文字は読みづらいと考えられます。
かと言ってこれ以上字を大きくすると1枚当たりの文字数が少なくなり、版木がその分多くなってしまいます。ちょうど良い文字数が400字であったのではないでしょうか。


 こういったいろいろな点から、そして黄檗版鉄眼一切経や『群書類従』が後世に与えた影響から見ても、400字詰めが定着するきっかけとなったのが鉄眼や塙保己一の版木であると言えるかも知れません。

 ただ400字詰めとなった経緯については、別の見方をされている方もおり、引き続き調べていきたいと考えております。

 今回は400字詰めという文字数から「原稿用紙の起源」の考察にまではつなげることが出来ませんでしたが、鉄眼の版木も含め今後また折りを見て探っていきたいと思います。長文最後までお読み頂きありがとうございました。

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